ワイヤーカット放電加工に使用するワイヤー線の材質は?

ワイヤーカット放電加工機は、ワイヤー線に電気を流すことにより加工対象物を電気で溶かすことで任意の形状に作り上げる加工機となります。ワイヤーカット放電加工機に使用されるワイヤー線には様々なものが存在しますが、加工対象物やコストとの兼ね合いで、加工現場において最適なワイヤー線が選択されています。ワイヤー線は導電性が高い材質が採用され、例えば下記のような材質があります。

1.黄銅

最も代表的なワイヤー線の材質は、黄銅になります。黄銅は導電性も高くコストも安いため、多くのワイヤーカット放電加工機で使用されています。ただし、100分台のワイヤー線として使用した場合には、ワイヤー線としての強度が低いために断線が起こりやすいために、加工スピードを上げることができません。主にφ0.2以上の線径で使用される場合が多いです。

2.タングステン

タングステンは導電性が高い上、強度が非常に強いため、φ0.1以下のワイヤー線によく使用されております。ただし黄銅と比較するとコストが高くなるため、高精度加工や微細な加工に主に使用されます。

3.その他

黄銅やタングステンの他、ピアノ線に黄銅をコーティングしたタイプもあります。コスト的には黄銅とタングステンの中間になり、黄銅よりも強度が上がるため加工スピードを向上させることが可能です。また黄銅線に各種コーティングを施すことにより、加工スピードを上げられるワイヤー線も存在します。

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ワイヤーカット放電加工機のメーカーによって違い

ワイヤーカット放電加工機はメーカーやグレードによって重視する性能が大きく変わり、大きく分けると、主に下記の6つのポイントに分けることができます。

①使用可能なワイヤー線径
②機械精度
③面粗さ
④ワイヤー挿入スピード
⑤ワイヤー結線率
⑥水加工か、油加工か(面粗さおよびスピード)

例えばワイヤーカット放電加工機を用いて多数の穴加工を行わなければならない場合は、4.ワイヤー挿入スピードと5.ワイヤー結線率の指標が重要になります。一般的なワイヤーカット放電加工機だとワイヤー結線にかかる挿入時間は1分程度になりますが、4.5.を重視したメーカー/モデルだと、10秒以内で完了させることができますので、穴数が多くなればなるほど作業時間とコストに大きく響いてきます。

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ワイヤーカット放電加工機の加工精度の違いについて

ワイヤーカット放電加工機は様々なメーカーが取り扱っていますが、大きく、汎用加工機・高精度加工機・超高精度加工機に分けることができます。汎用ワイヤーカット放電加工機は精度があまり要求されない部品加工に使われています。例えば、公差のゆるい部品の穴加工・形状加工や、板金加工において複数枚の抜き加工を行う場合に、鋼板を数枚重ね合わせたものをワイヤーカット放電加工機で切る、といったケースです。加工精度はおおよそ±0.01mm程度となります。

続いて高精度ワイヤーカット放電加工機ですが、これは、±0.005mmの部品加工や金型加工に用いられるもので、汎用加工機と大きく違う点はピッチ精度も±0.005mmの加工ができるので、プレート加工にも用いられます。ちなみに当社では、高精度な加工にお応えすることが多いため、汎用加工機は保有しておらず、すべて高精度ワイヤー放電加工機以上のものとなっています。なお、小型のワイヤーカット放電加工機の方がより精度が出しやすくなります。

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ワイヤーカット放電加工機の加工品質・精度の維持について

ワイヤーカット放電加工機の加工品質・精度を左右する要素には様々なものがあり、水加工よりも油加工の方が表面状態も良く高精度に加工ができます。下記では加工面の状態などに影響する水や油の管理についてお伝えします。

水仕様のワイヤーカット放電加工機は、水道水や井戸水をそのまま使用することはせず、イオン交換樹脂のフィルターを通した水を使用します。これは、水の導電性に対する抵抗値を上げて加工性能を良くするために行われます。またワイヤーカット放電加工機の加工槽の水はイオン交換樹脂フィルターを通して常に循環しており、蒸発などにより減った分は管理者が追加していくという方法が採られます。つまり、水仕様のワイヤーカット放電加工機の水は、イオン交換樹脂フィルターの定期的交換と加工槽の掃除など定期的なメンテナンスが必要となります。

一方、油仕様のワイヤーカット放電加工機については、加工液の蒸発等はしないため、加工液の継ぎ足しは水仕様のように頻繁に行うことはありません。また、イオン交換樹脂フィルターを通すことも必要性もないため、その分の購入費を抑えることができます。ただし、長く使っていると油加工液の性能が低下するため、加工面の面粗度が粗くなったり、精度が維持できなくなる、ワイヤー断線が起こるなどの不具合が生じます。そのため、油仕様のワイヤーカット放電加工機については、油加工液の定期的な総入れ替えが必要となります。

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高精度のワイヤーカット放電加工のことなら当社にお任せ

当社では、ワイヤーカット放電加工を13台、形彫放電加工機を5台、細穴放電加工機を6台保有する、放電加工のプロです。こんな材質はワイヤーカット放電加工できないのか?などお気軽に相談頂ければ対応可否をお応えすることも可能です

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